化学物質過敏症は大人に多い印象もありますが、実際にはまだ小さな子供でも発症するケースがあります。

シックスクールという言葉を耳にすることも増えてきましたが、子どもにとって安全であるべき学校の環境が原因で、子どもや教職員が化学物質過敏症などを発症したり、または、すでに化学物質過敏症やアトピー、アレルギーになっている子どもや教職員の症状が悪化するケースです。

化学物質過敏症を発症している子どもや教職員の多くは、床に塗るワックスや教材から揮発する化学物質、教職員のたばこや香水、校庭の樹木へ散布される殺虫剤などに反応して、症状が出てしまいます。

また、校舎の新築や改修による集団的な健康被害の発生例も確認されています。

学校側が協力して、教材を出来るだけ安全なものに替えたり、教室の換気を励行したり、教職員がたばこや化粧を控えるなどの対応を取れば、化学物質過敏症の子どもでも通学できる場合があります。

しかし、化学物質の問題について知識がない関係者がまだ多いため、子どもや親からの訴えがなかなか理解されないケースが多いのも実情です。

学校側が協力しても学校に通えないほどの重症の子どもの場合は、養護学校からの訪問教育などで対応するよう、文部科学省は指導しています。

しかし、「人員が足りない」などの理由で、実施されないこともあります。

化学物質過敏症の典型的な症状の一つに、集中力・思考力が欠けて落ち着きがなくなる、感情を制御しづらくなり怒りやすくなる、というものがあります。

化学物質に曝露されると「キレる」子どもが(大人も)現実にいます。

一見すると元気で活発な子どもが、実は病気のせいで“多動”になっていた、という例も報告されています。粗暴だった化学物質過敏症の子どもが(大人も)回復すると、ウソのように優しくなったという症例は、珍しいものではありません。

また、有機リン化合物などの化学物質が、多動を引き起こすという動物実験結果も報道されています

今日、落ち着きのない子ども、感情を制御できない子どもが、いかに多いかということは、皆さんもご承知の通りです。

親も教職員も、そして子ども本人も気付かないうちに、化学物質の影響を受け、「多動児」「問題児」扱いされている子どもたちも、きっといるのではないかと思われます。子どもがなぜキレるのかを調べる際には、原因の候補に化学物質も含めるべきだと、研究者は指摘しています。

化学物質過敏症の子どもたちが通えるような学校にすることは、他のすべての子どもたちの健康を守ることにもなるのです。